2011年06月27日

重婚的婚約

 「婚約」とは、将来夫婦になろうとする合意をいいます。古い判例には、婚姻が、その成立時点での双方当事者の自由な意思に基づくものであることを理由に「婚約」それ自体の法的保護を否定したものもありましたが、現在では、法律上婚姻を強制することはできないが、正当な理由なくしてこれを破棄した者は債務不履行責任を負うと考えられています。
 ただし、その婚約が、配偶者がいる者との重婚的婚約の場合はどうでしょうか。
 配偶者がある者との婚約は、原則として公序良俗に反し、無効です(大審院 大正9.5.28)。但し、当該婚姻が既に実質的に破綻しているような場合には、有効として、不当に破棄した当事者に損害賠償義務を認めた判例があります(大審院S12.4.8、判決 東京地判S34.12.25、大阪地判S52.6.24)。
 なお、重婚的婚約として無効とされる場合であっても、配偶者ある者がそれを隠して配偶者がないように装って情交関係をもった場合等は不法行為に基づき損害賠償請求ができますし、又、配偶者あることを知っていても、相手方の違法性が著しく大きい場合にはやはり不法行為に基づく請求が容認されると考えられています(最判S44.9.26)。
posted by funatomi at 10:12| Comment(2) | 日記
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