子は親に対して扶養義務を負っています(民法879条1項)。この扶養義務の性質については、扶養義務者に経済的な余力がない場合であっても、被扶養者に対して自己の生活と同等、同程度の生活を保持させる義務(未成年の子に対する親の義務が典型例)ではなく生活扶助義務(自己の社会的地位にふさわしい生活を犠牲にすることなく扶養する余力ある場合に扶養すれば足りる義務)と考えられています。
判例時報H27.12.11号(No,2272)67頁にその具体的な算定方法について判断した札幌高裁の決定が掲載されていました。「扶養料の額は老親が必要とする自己の平均的生活を維持するために必要である最低生活費から老親の収入を差し引いた額を越えず、かつ、子どもの扶養余力の範囲内の金額とするのが相当」とのことです。
しかし裁判所に決めてもらわなければならないようなことかと思います。
2015年12月15日
子の老親に対する扶養料
posted by funatomi at 11:36| 日記
2015年12月14日
位置指定道路の通行妨害と妨害排除請求
私道敷地の所有者が、他人が私道を通行することを妨害した場合で、妨害された側に地役権や袋地通行権等の明文の根拠がなくても妨害排除請求ができる場合があるかについて、最高裁H8.2.20判決は以下のとおり述べています。「建築基準法42条1項5号の規定による位置の指定(以下「道路位置指定」という。)を受け現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、又は妨害されるおそれがあるときは、敷地所有者が右通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り敷地所有者に対して、右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格的権利)を有するものというべきである。」
人格的権利に基づき妨害排除請求ができる場合があるとしたものですが、判例時報H27.12.11号(NO.2272)48頁には、日常生活上不可欠の利益を有するか否かについて、地裁と高裁で判断が分かれた判決が掲載されています。地裁は氷雪販売業を営んでいる者が、その妨害があっても営業を継続しているから本件通路を通行できなくなったことで、日常生活上不可欠の利益が害されているとはいえないとするのに対し、高裁は、その道路を貨物自動車等で通行する営業上の利益がそれ自体日常生活上不可欠の利益であるとするものです(営業を継続している否かは決め手とならない)。所有者側の不利益があまりなければ日常生活上不可欠の利益というのはある程度広く考えるべきなのでしょうか。
人格的権利に基づき妨害排除請求ができる場合があるとしたものですが、判例時報H27.12.11号(NO.2272)48頁には、日常生活上不可欠の利益を有するか否かについて、地裁と高裁で判断が分かれた判決が掲載されています。地裁は氷雪販売業を営んでいる者が、その妨害があっても営業を継続しているから本件通路を通行できなくなったことで、日常生活上不可欠の利益が害されているとはいえないとするのに対し、高裁は、その道路を貨物自動車等で通行する営業上の利益がそれ自体日常生活上不可欠の利益であるとするものです(営業を継続している否かは決め手とならない)。所有者側の不利益があまりなければ日常生活上不可欠の利益というのはある程度広く考えるべきなのでしょうか。
posted by funatomi at 17:54| 日記
2015年12月11日
忘れ物
昨日、京都で仕事があり京阪電車で北浜駅まで帰ってきましたが、車内温度が高かった為、コートを脱いで網棚の上においておりました。少し疲れていたのかとも思いますが、そのコートを車内に忘れ、全く気付かないまま事務所へ。事務所で仕事を終え、帰ろうとしましたところ、コートのないことに気づき、慌てて京阪電車の忘れ物センターのホームページにアクセスしたところ、忘れた当日の場合は、「お届けのあった駅でお預かりしています。」とのこと。北浜駅の次の駅である淀屋橋駅と当りをつけて電話したところ、預かっているとのこと。忘れ物がすぐに出てくるのは治安がいいということでしょうし、対応頂いた京阪電車の担当の方のサービスも満足のいくものでした。何はともあれ、よかった。よかった。
posted by funatomi at 17:44| 日記
2015年12月09日
医療機関の倒産
auのヘッドラインニュースを見ていますと、「1月に帝国データバンクが発表した医療機関・老人福祉事業者の倒産動向調査によると2000年から14年までの累計倒産数は病院が113件、診療所が226件。07年をピークに減少傾向ではあるものの年間で33件(?22件)も倒産していることになるとのこと。
お医者様といえば、国民健康保険や社会保険に守られて厳しい経営環境にはない職種と思っておりましたが。そういえば友人が病院の未納診療費等の回収の相談を受けている等とも言っていたこともあり、今は良くても永遠にぬるい業界というのはこれだけ世の中、社会の変化が激しいとないのですね。
お医者様といえば、国民健康保険や社会保険に守られて厳しい経営環境にはない職種と思っておりましたが。そういえば友人が病院の未納診療費等の回収の相談を受けている等とも言っていたこともあり、今は良くても永遠にぬるい業界というのはこれだけ世の中、社会の変化が激しいとないのですね。
posted by funatomi at 17:26| 日記
2015年12月08日
杉原千畝
現在上映中の「杉原千畝」の映画を先週の日曜日に観てきました。トウホウシネマでは50才以上の夫婦の場合1人1100円×2=2200円で観ることができるのでお得です。
昔の日本人には偉い人もいたものだと思いますが、当時同様のことをした他国の外交官として中華民国人、ポルトガル人もおられ、同様に諸国民の中の正義の人としてイスラエル政府から表彰されているようです。
この諸国民の中の正義の人とは、ナチス・ドイツによるユダヤ人絶滅(ホロコースト)から自らの生命の危険を冒してまでユダヤ人を守った非ユダヤ人の人々を表す称号で、全世界で22,211人の方が授けられているようですが、1人でも日本人の中にかような方がおられたことは誇るべきことだと思います。
昔の日本人には偉い人もいたものだと思いますが、当時同様のことをした他国の外交官として中華民国人、ポルトガル人もおられ、同様に諸国民の中の正義の人としてイスラエル政府から表彰されているようです。
この諸国民の中の正義の人とは、ナチス・ドイツによるユダヤ人絶滅(ホロコースト)から自らの生命の危険を冒してまでユダヤ人を守った非ユダヤ人の人々を表す称号で、全世界で22,211人の方が授けられているようですが、1人でも日本人の中にかような方がおられたことは誇るべきことだと思います。
posted by funatomi at 15:00| 日記
2015年12月02日
監護権者の指定
別居中の夫婦に未成年の子どもがいる場合、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項を協議で定めることができ、協議が整わないとき又は協議することができないときは、家庭裁判所がこれをさだめることになります(民法766条類推)。
別居中の夫婦でも子どもの取り合いとなることがあり、それを法の枠組みにおさめる為、監護権者の指定を申し立てることはそれほどめずらしいことではありません(逆に子どもの押しつけあいもないことはなく、調停中の裁判所で両親双方が子どもを押しつけあった上、子どもを裁判所に放置して帰った等という事例もありました)。この場合、裁判所でどちらが監護権者となるに相当か判断することになるのですが、判例時報平成27年12月1日号111頁に、現在共同監護のような状態にあり、相手方の未成年者らに対する監護養育に大きな問題があるとは認められず、それなりに安定しているから敢えて監護権者を指定する必要はないとして申立てを却下した事案が掲載されています(大阪家裁H26.8.15)。
夫婦や家族のかたちも様々ということでしょうか。
別居中の夫婦でも子どもの取り合いとなることがあり、それを法の枠組みにおさめる為、監護権者の指定を申し立てることはそれほどめずらしいことではありません(逆に子どもの押しつけあいもないことはなく、調停中の裁判所で両親双方が子どもを押しつけあった上、子どもを裁判所に放置して帰った等という事例もありました)。この場合、裁判所でどちらが監護権者となるに相当か判断することになるのですが、判例時報平成27年12月1日号111頁に、現在共同監護のような状態にあり、相手方の未成年者らに対する監護養育に大きな問題があるとは認められず、それなりに安定しているから敢えて監護権者を指定する必要はないとして申立てを却下した事案が掲載されています(大阪家裁H26.8.15)。
夫婦や家族のかたちも様々ということでしょうか。
posted by funatomi at 16:54| 日記
2015年12月01日
2015年11月30日
2015年11月18日
2015年11月12日
弁護士の懲戒制度
弁護士法は56条1項で「弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があったときは懲戒を受ける」と定めています。第一次的に懲戒権を行使するのは所属弁護士会です(同条2項)。
私自身は今まで依頼者、相手方に恵まれたのか個人的に懲戒の申立てを受けたことは一度もありません(大阪弁護士会の綱紀委員会の委員が全員決定が遅いと懲戒申立てを受けた時に一度あるだけです。もちろん懲戒不相当にされましたが)。
ただ近時、この懲戒事由の定めが抽象的で一義的に決まっていない為、交渉の相手方である同業者から懲戒申立てを匂わされることがここ5年の間に2度ほどありました。又、綱紀委員の時にとても常識的には懲戒事由はないだろう(あくまで私の個人的意見です)と思われる事案で、同業者の方が懲戒請求者の代理人をされているケースもありました。この件は、懲戒不相当となりました。私は、このようなことは弁護士の識見、能力の劣化ではないかと思います。
弁護士は相手方の同業者が明白な法律違反あるいは倫理違反をしていない限り、そのケース毎の土俵でよりよき解決に向けて戦うべきであり、相手方の同業者に懲戒申立てをし、あるいは匂わせ威嚇する等もってのほかと考えています。そして相手方の同業者が明白な法律違反、倫理違反を行っている時に四の五の言わず懲戒申立てをするべきです。勿論、虚偽告訴罪に該当しないかどうか十分検討した上で。
私自身は今まで依頼者、相手方に恵まれたのか個人的に懲戒の申立てを受けたことは一度もありません(大阪弁護士会の綱紀委員会の委員が全員決定が遅いと懲戒申立てを受けた時に一度あるだけです。もちろん懲戒不相当にされましたが)。
ただ近時、この懲戒事由の定めが抽象的で一義的に決まっていない為、交渉の相手方である同業者から懲戒申立てを匂わされることがここ5年の間に2度ほどありました。又、綱紀委員の時にとても常識的には懲戒事由はないだろう(あくまで私の個人的意見です)と思われる事案で、同業者の方が懲戒請求者の代理人をされているケースもありました。この件は、懲戒不相当となりました。私は、このようなことは弁護士の識見、能力の劣化ではないかと思います。
弁護士は相手方の同業者が明白な法律違反あるいは倫理違反をしていない限り、そのケース毎の土俵でよりよき解決に向けて戦うべきであり、相手方の同業者に懲戒申立てをし、あるいは匂わせ威嚇する等もってのほかと考えています。そして相手方の同業者が明白な法律違反、倫理違反を行っている時に四の五の言わず懲戒申立てをするべきです。勿論、虚偽告訴罪に該当しないかどうか十分検討した上で。
posted by funatomi at 10:17| 日記